研究開発の推進活動(詳細)

Ⅰ. 社会における取り上げるべき具体的問題の探索・抽出

 社会に役立つ社会技術を研究開発するために、RISTEXでは社会の重要な問題をテーマとする「研究開発領域・プログラム」を設定します。新たな研究開発領域・プログラムは約1年間にわたる準備・検討を経て誕生します。
 まず、予備調査で社会の問題として捉えられる多種多様な事象を抽出後、さまざまな分野の専門家を招き、問題を俯瞰的に把握するための『俯瞰ワークショップ』を開催。"近々顕在化が予想される社会問題"、"テーマとすべき社会問題"、"社会問題の解決アプローチ"について議論し、数点、特に重要と考えられる問題を候補として絞りこみます。さらにテーマ別にワークショップを行い、重要性や緊急性についてさらに深く議論し、解決に向けて取り組むべき社会問題を決定します。
 平成27年度には、これまで挙げられてきたそれぞれの社会問題について、社会の関心度がどう変化したかについても調査を行いました。
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Ⅱ. 研究開発領域・プログラムの設定

 次に、その問題に現在深く関わっている人にインタビューを行い、問題の現状をさらに深く把握します。例えば「コミュニティで創る新しい高齢社会のデザイン」は、平成22年度の新設にあたり、平成21年度から、来るべき高齢化社会から生まれるであろう問題の検討を開始していました。インタビューした「関与者」の方々は約100名。研究者、機器開発者、医師・看護師・介護に携わる方、自治体関係者、マスコミなど、専門の異なるさまざまな立場の方を個別に訪問し、ご意見をいただきました。
 その後、インタビューの内容と一般の方からいただいたご意見・ご提案をもとに、有識者・関与者によるワークショップ・ワーキンググループで領域・プログラムの枠組みや研究開発アプローチなどについて検討を重ね、その概要について一般の方を対象とする『公開フォーラム』を開催し、広く意見交換を行います。
 この一連の流れから作り上げられた研究開発領域・プログラムの構想は、国等の政策を踏まえつつ、社会技術研究開発主監会議での議論を経て了承され、初めて領域・プログラムとして誕生します。

Ⅲ. 研究開発の推進

■運営体制
 研究開発領域・プログラムでは、「総括」が運営の責任者として選任されます。また総括に専門的助言を行う「アドバイザー」を産・学・官・民、各セクターから選びます。
 「総括」の強力なリーダーシップのもと、「アドバイザー」とRISTEXスタッフがそれぞれ専門的役割を果たしながら、運営マネジメントにあたります。

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■プロジェクトの募集・採択・運営
 それぞれの領域・プログラムは、目的に沿った研究開発提案を募集します。多数の提案のなかから、総括がアドバイザーの協力を得て選考を行い、複数の「研究開発プロジェクト」を選定します。
 研究開発プロジェクトは領域・プログラム目標を達成する成果を生み出すことを前提に、原則として3 年間(最長5 年間)研究開発を実施します。
 採択後は、総括、アドバイザー、スタッフが進捗の把握からアウトリーチ活動まで、さまざまなサポートを行います。

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 こうした領域・プログラムの運営については、「領域・プログラムの運営について」で詳しく紹介します。

■評価
 RISTEXでは、研究開発運営及び事業運営の改善に資することを目的として、領域・プログラムの目標の達成状況や研究開発マネジメントの状況、研究開発プロジェクトの活動について、外部の有識者による評価を行い、結果を公表しています。
 研究開発領域・プログラムの実施期間中に、研究開発目標の達成に向けたマネジメントの状況を把握し、運営や支援体制の改善に資するために「中間評価」を行います。研究開発終了後には、研究開発の実施状況、研究開発成果、波及効果等を明らかにし、今後の成果の展開やRISTEXの事業運営の改善に資するために「事後評価」を行います。また、研究開発終了後一定期間を経過した後に、研究開発成果の発展状況や活用状況、波及効果等についての「追跡調査」を行います。

Ⅳ. プロトタイプの提示

 プロジェクトの研究開発活動(右図の第1層)の成果は、社会実験を行った地域やコミュニティだけではなく、さまざまな組織や地域に広がり活用されることが期待されています。
 そこで個々の研究開発プロジェクトには、そのためのモデルや方法論、地域特性や制約などの適用条件、担い手の育成・確保などを具体的に示したプロトタイプの提示が求められ、これが多様なネットワークを通じて社会実装に展開していくことになります。
 領域・プログラム(右図の第2層)のレベルでは、複数のプロジェクトの成果や共通課題を俯瞰しながら、より規範性・普遍性を高めた統合モデルや方法論の構築を図り、法制度や政策など国や自治体の公共的なシステム(右図の第3層)の改革を目指した提言等へとつなげて行きます。

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Ⅴ. プロトタイプの実装支援

 RISTEXでは「研究開発成果実装支援プログラム」を用意し、研究開発の成果が国・自治体・企業・NPOなどの組織の活動や事業として活用され、さまざまな地域・コミュニティに広がり、将来的に「社会技術」として普及・定着につながるよう支援を行っています。平成25年度には、研究開発領域の複数の研究開発成果をそこで培ったネットワークも活かしながら集約・統合(パッケージ化)し、社会の問題解決に向けてより効果的な普及・定着を図ることを目的として、プログラム内に【成果統合型】を新設しました。

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