ここ10年ほど、子どもが被害者となる犯罪の件数は減ってきています。しかし、だからといって安心はできません。
 子どもを取り巻く環境が社会とともに大きく変化するなか、子どもが危険にさらされるシチュエーションは年々変化し、多様になりつつあるからです。
 例えば、近年急速に普及した携帯電話などを子どもが利用し、インターネットを介して犯罪に巻き込まれたり、子ども同士でトラブルになるケースは、ここ数年で一般的にも知られるようになりました。また、児童虐待については、社会の関心の高まりもあって、相談件数、検挙件数ともに増加しています。
 子どもを未然に犯罪被害から守るためには、家の中、学校、通学路、放課後の遊び場、さらにはインターネットの中など、じつにさまざまな場所への目配りが必要ですが、保護者や学校、警察だけでは限界があります。また、地域のつながりが昔より弱まっていることもあり、保護者の不安はつきません。
 近頃は国の方針も相まって、地域の住民、NPO、自治体などでも、子どもを守るさまざまな試みを行っています。しかしこれらは手探りのものも多く、取り組みがバラバラで効果がでなかったり、ときには神経質になりすぎて、子どもの健全な育成をさまたげてしまったりすることもあります。
 そこで立ち上げた研究開発領域が、「犯罪からの子どもの安全」 (平成19-24年度)です。子どもの安全に向けて現場で取り組む人々と研究者が力を合わせ、現場に科学的な知見や方法を導入することで、効果的で持続的な対策を生みだすことをめざしました。全国から広く提案を募集し、すぐれた13のプロジェクトについて研究開発を進めました。


 あわせて、本領域の考え方や成果を社会に届けるためにWebサイトの設立や、メールマガジンの配信、シンポジウム開催なども行いました。この成果が社会に浸透していき、子どもや保護者、地域の人々が安心して笑顔で暮らせる地域づくりの一助となることを心から願っています。



 「犯罪からの子どもの安全」研究開発領域は、「領域総括」の強力なリーダーシップのもと、専門的な助言を行う「領域アドバイザー」及び社会技術研究開発センター(RISTEX)が運営にあたりました。
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