コミュニティがつなぐ安全・安心な都市・地域の創造 研究開発領域の設定について

平成24年度戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)における新規研究開発領域の設定及び領域総括の選定について

 平成24年度発足の新規研究開発領域については、東日本大震災を契機とした科学技術イノベーション政策の見直しの動きを踏まえ、前年度に行った社会問題の俯瞰調査の結果等に基づいて、安全・安心な都市・社会の構築に資する社会技術として設計を進めることとし、文部科学省科学技術・学術審議会(安全・安心科学技術委員会)およびJST研究開発戦略センターと共同して有識者へのインタビューや事業の具体化に向けた検討を行ってまいりました。平成24年4月28日には、設定に向けた幅広い一般の方々との意見交換の場として、公開フォーラムを開催いたしました。
 これらの検討に基づき、文部科学省よりJSTに対して、「戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)における新規研究開発の方針について」(平成24年4月24日 文部科学省 通知)が示されました。
 JSTでは、本通知を受けて社会技術研究開発主監会議(平成24年5月16日)を開催し、その審議を経て、下記の通り新規研究開発領域を設定し、領域の運営責任者である領域総括を選定しました。

●研究開発領域の名称:
  「コミュニティがつなぐ安全・安心な都市・地域の創造」
●領域総括:
  林 春男(京都大学防災研究所 巨大災害研究センター 教授)

1.研究開発領域の内容

(1)研究開発領域の目標

 防災・減災に関わる既存の研究開発、現場における取り組みや施策、制度等の現状を科学的に整理・分析し、同時に起こりうる様々な危機・災害を一元的に体系化し、効果的な対応を図るために必要な新しい知見の創出及び方法論の開発を行う。
 危機・災害対応に係る都市・地域の現状と問題を把握・分析し、安全・安心に関わる知識・技術、社会制度、各般の関与者(行政、住民、学校、産業、NPO/NGO等)を効果的に連携させることにより、安全な都市・地域を構築するとともに、人々に安心を提供するため、現場に立脚した政策提言、対策の実証を行う。
 研究開発活動及び得られた研究開発の成果が、当該地域・研究領域の枠を超えて活用され、普及・定着するよう、情報共有・意見交換や連携・協働のための関与者間のネットワークを構築する。

(2)研究開発プロジェクトの公募

 上記の目標達成のために、研究開発プロジェクトを公募し、研究開発を推進する。幅広い分野と関連する学際的分野で、関与する研究者の層を広げる。あわせて、その活動状況を社会へ広く発信し対話の場を作り、コミュニティ・ネットワークを拡大させる。

(3)研究開発プログラムの設置期間

 平成24年度から平成29年度の延べ6年間(3年度にわたる新規採択を想定)

(4)公募する研究開発プロジェクトの用件

 何らかの知識を得ることに留まらず、社会の問題の解決に資する具体的な成果を達成しようとする提案であって、社会実装を目的とする研究開発であることから、その取り組みが持続的に利用可能となるような研究開発を目指すこと。
 平常時の対応と緊急時の対応の関係に留意した提案にすること。
 倫理的・法的・社会的問題(ELSI)にも配慮し、適用の範囲を意識すること。また、研究開発の成果が社会に対する負の側面(デュアルユース等)を持つ可能性に十分配慮し、検討すること。
 社会・地域の状況や社会的要請、問題の変化を的確に捉えられる、柔軟かつ動的なしくみの提案であること。

(5)領域目標の達成について

 本領域においては、目標の1.については社会の問題を解決するための選択肢を提示しようとするプロジェクト(研究開発のあり方や科学的評価のための指標等の体系化など)、 2.については主に社会の問題の解決に資する具体的な技術や手法等についてその実証まで行おうとするプロジェクトの成果をもって達成する。 3.については、全てのプロジェクトを含む領域全体の活動として達成する。

2.研究総括について

 林氏は、長年にわたり、社会心理学の分野において、大規模地震発生時の人間行動や防災心理学に関する研究と教育に従事されるとともに、研究開発のマネジメントや社会との連携に尽力されてきた。近年では、社会システム工学・安全システムの視点から、危機管理・災害情報システムの研究や社会実験にも携わっておられる。
 特に、阪神・淡路大震災を契機として、被災者の「罹災証明」の発給と被災者台帳の作成を円滑化するためのシステム構築に取り組まれ、GISを用いた「Geo-Wrapシステム」の開発・実装に尽力された。このシステムは、災害時の情報処理と平常時の情報処理をつなぐ革新的なシステムであり、2007年に相次いで発生した能登半島地震、新潟県中越沖地震においては実際の被災者支援に大きな役割を果たした。
 その傍ら、地域安全学会会長、文部科学省科学技術・学術審議会専門委員、日本学術会議連携会員等を務められ、科学技術の振興および社会問題の解決においても指導的な役割を果たしてこられた。こうした多方面にわたる功績が認められ、林氏は2005年には兵庫県防災功労者表彰、2006年には防災功労者防災担当大臣表彰を受賞されている。
 「コミュニティがつなぐ安全・安心な都市・地域の創造」研究開発領域において取り組むべき課題は多岐にわたり、関与者も多様である。したがって、安全・安心に関わる問題について、研究開発のマネジメントと社会との協働の両面において豊かな経験を持つ領域総括を中心として、研究者を含む社会の多様な関与者がアドバイザーとなり、各々の専門性を発揮できる運営体制が適当である。
 林氏は、上述の通り、災害発生時の安全・安心に関わる分野において、優れた先見性と洞察力を発揮し、多大な実績をあげてこられた。
 以上のことから、林氏が領域総括として最も適任であると判断する。

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