「研究開発成果実装支援プログラム【公募型】」について
RISTEXは、社会の問題解決に資する研究開発成果の社会実装活動を支援するために、「公募型」(平成19年度開始)、「成果統合型」(平成25年度開始)の2つのプログラムを設定しています。
プログラムの構成
研究開発成果実装支援プログラムは、以下の構成で推進しています。
実装支援プログラム【公募型】(平成19年度~)
東日本大震災対応・緊急 研究開発成果実装支援プログラム(平成23年度)
実装支援プログラム【成果統合型】(平成25年度~)
プログラム総括:冨浦 梓(東京工業大学 元監事)
実装支援プログラムは研究開発の成果を社会に届ける仕組み
■成功の秘訣は研究‐開発‐実証‐普及を一貫して行うこと
近年の科学技術の進歩は著しく、多大の成果が得られていますが、その多くは活用されることなく、知の貯蔵庫で眠り続けています。人の知的営みの中で生まれた成果を研究(Research)の段階で終わらせず、開発(Development)、実証(Demonstration)、さらには、普及(Diffusion)に至るRDDDが一貫して行われる仕組みがなければ、せっかくの知的成果を人々や社会のために活用することはできないのです。
■失敗の要因は研究開発と実証の断絶にある
社会のための研究開発は、大学や研究開発機関が行うことが多く、その成果の有効性が目に見える形で実証されない限り、受益者である市民は研究開発の成果を享受するための資金投入を躊躇してしまいます。その結果、研究開発とそれに続く実証が断絶しRDDDが完結しないのです。
■実装支援によって死の谷を渡る
研究者は自分の研究成果を実際に役立てたいと思い、社会の人々も研究開発成果を利用したいと思っています。両者の願望をかなえるには、研究開発と実証の谷間―死の谷―を渡り、研究開発の成果を目に見える形にして提示し、受益者が躊躇なく資金投入の決断ができる仕組みを作ることが不可欠です。この仕組みがまさに、実装支援プログラムです。実装支援の概念を左下に示しました。実装支援がないと研究開発の速度が遅くなるとともに、場合によっては、失速してしまうことに注目してください。
■実装活動は市民との共同作業
実装支援プログラムでは研究開発は終了し、成果が存在していることが大前提となります。実装活動は市民との共同作業ですから、誰が受益者であり、何が目的であり、どのような方法で目的を達成し、どのような効果をいつまでに実現するかが明確でなければなりません。
■協力者を受け入れる柔軟さ
社会実装を行っていく上では、他分野の研究者、技術者、現場経験者、受益者などの協力を臨機応変に要請する柔軟さと組織体制が必要です。協力者なしに「死の谷」を渡ることはできません。
■普及への足掛かりを構築する
このプログラムは普及までを対象にしていませんが、実装が定着し社会における自律的運営がなされた場合、成功事例として全国に普及していくことが期待されます。
■実装支援を受けることができる機関
実装支援を受けることができる機関は民間企業、各種団体、NPO、大学、研究機関など主体を問いません。プロジェクトの支援期間は1年以上3年以内です。これにより、研究開発成果の社会への適用を迅速化し、研究者の社会的役割の強化と研究開発組織の基盤が充実し、研究開発成果の社会への普及と定着が確実に実現することが期待されます。
プログラム
中間 | |
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活動報告書 | 評価報告書 |
実装活動
報告書 | |||||||
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実装活動 | 終了 | 事後評価 | 追跡調査 | ||||
初年度 | 2年度 | 3年度 | |||||
平成29年度採択 | |||||||
小学校におけるメンタルヘルスプログラムの実装 | 石川 信一 (同志社大学 教授) |
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災害時における動物管理に関わる支援システムの実装 | 羽山 伸一 (日本獣医生命科学大学 教授) |
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市民と共に進める災害医療救護訓練プログラムの実装 | 依田 育士 (産業技術総合研究所 主任研究員) |
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平成28年度採択 | |||||||
エビデンスに基づいて保護者とともに取り組む発達障害児の早期療育モデルの実装 | 熊 仁美 (ADDS 共同代表) |
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熊本地震被災地の仮設住宅で暮らす高齢者の行動分析データと医師、保健師、生活支援相談員から得られる情報を統合化したケアシステムの実装 | 白水 麻子 (熊本県立大学 準教授) |
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被介護者の状態から得られる情報に基づく質の高い介護サービス支援システムの実装 | 神成 淳司 (慶應義塾大学 准教授) |
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熊本地震被災地の復旧・復興のための広域連携した情報活用支援体制の実装 | 鈴木 進吾 (防災科学研究所 主幹研究員) |
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低エネルギー消費型製品の導入・利用ならびに市民の省エネ型行動を促進するシステムの実装 | 吉田 好邦 (東京大学 教授) |
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平成27年度採択 | |||||||
大規模稲作農家への農業水利情報提供システムの実装 | 飯田 俊彰 (東京大学 准教授) |
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医師の高度な画像診断を支援するプログラムの実装 | 金 太一 (東京大学 助教) |
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間伐材を用いた土砂・雪崩災害警報システムの実装 | 下井 信浩 (秋田県立大学 教授) |
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機能的近赤外分光分析診断法による注意欠如・多動症児支援システムの実装 | 檀 一平太 (中央大学 教授) |
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平成26年度採択 | |||||||
脳活動画像化装置による認知症予防プログラムの社会実装 | 田中 美枝子(株式会社脳機能研究所 研究本部 主任研究員) | ![]() |
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聴覚障害高校生への遠隔パソコン文字通訳での授業支援 | 玉田 雅己(特定非営利活動法人 バイリンガル・バイカルチュラルろう教育センター 代表理事) | ![]() |
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旅行者と地域との共生に資する観光プランの作成支援技術の基盤化と社会実装 | 原 辰徳(東京大学 人工物工学研究センター 准教授) | ![]() |
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発達障害者の特性別評価法(MSPA)の医療・教育・社会現場への普及と活用 | 船曳 康子(京都大学大学院 人間・環境学研究科共生人間学専攻認知行動科学講座 准教授) | ![]() |
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エビデンスに基づくスクールソーシャルワーク事業モデルの社会実装 | 山野 則子(大阪府立大学 人間社会学部 教授) | ![]() |
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平成25年度採択 | |||||||
ドライバーの居眠り事故防止のための睡眠時無呼吸症スクリーニングの社会実装 | 谷川 武(順天堂大学 大学院 医学系研究科公衆衛生学 教授) | ![]() |
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高齢者の生きがい就労システムの社会実装 | 辻 哲夫(東京大学 高齢社会総合研究機構 特任教授) | ![]() |
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高層ビル耐震診断に基づく帰宅困難者行動支援システムの社会実装 | 三田 彰(慶應義塾大学 理工学部システムデザイン工学科 教授) | ![]() |
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手指麻痺者の日常生活支援のためのパワーグローブの社会実装 | 諸麥 俊司(中央大学 理工学部 准教授) | ![]() |
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平成24年度採択 | |||||||
発達障害の子どもへの早期支援のための「気づき」・診断補助手法の実装 | 片山 泰一(大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学 連合小児発達学研究科 教授、科長) | ![]() |
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学校などにおける犯罪の加害・被害防止のための対人関係能力育成プログラム実装 | 小泉 令三(福岡教育大学 大学院教育学研究科教職実践講座 教授) | ![]() |
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優良盲導犬の効率的育成と普及率の向上 | 鈴木 宏志(帯広畜産大学 原虫病研究センター 教授) | ![]() |
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津波堆積物の地球化学的判別による沿岸地域のリスク評価と社会的影響の予測 | 土屋 範芳(東北大学大学院 環境科学研究科 教授) | ![]() |
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環境負荷の低減に資する持続的農業生産システムの実装 | 林 正浩(静岡大学イノベーション社会連携推進機構 教授) | ![]() |
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分散型エネルギーの利用促進と農山村地域環境ビジネスの創出 | 両角 和夫(東京農業大学総合研究所 教授) | ![]() |
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報告書 | |||||||
実装活動 | 終了 | 事後評価 | 追跡調査 | ||||
初年度 | 2年度 | 3年度 | |||||
平成23年度採択 | |||||||
急性白血病の早期診断を目的とした誘電泳動による細胞検出・同定法の臨床応用 | 今里 浩子(一般財団法人ファジィシステム研究所 主任研究員) | ![]() |
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女性の尿失禁予防・改善を目的としたサポート下着の社会実装 | 岡山 久代(滋賀医科大学 医学部 准教授) | ![]() |
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視野障害者自立支援めがねの社会実装 | 下村 有子(金城大学 社会福祉学部 教授) | ![]() |
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肢体不自由者のための自動車運転支援システムの社会実装 | 和田 正義(東京農工大学 工学研究院 准教授) | ![]() |
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平成23年度(東日本大震災対応・緊急) | |||||||
応急仮設住宅の生活環境改善のための統合的実装活動プログラム | 丹波 史紀(福島大学 行政政策学類 准教授) | - | - | - | ![]() |
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津波塩害農地復興のための菜の花プロジェクト | 中井 裕(東北大学 大学院農学研究科 教授) | - | - | - | ![]() |
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震災地域の重金属等土壌汚染評価 | 土屋 範芳(東北大学 大学院環境科学研究科 教授 ) | - | - | - | ![]() |
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大型マイクロバブル発生装置による閉鎖海域の蘇生と水産養殖の復興 | 大成 博文 (徳山工業高等専門学校 教授) | - | - | - | ![]() |
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東日本大震災被災者と救援支援者における疲労の適正評価と疾病予防への支援 | 吉田 俊子(宮城大学 看護学部 学部長/教授) | - | - | - | ![]() |
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無水屎尿(しにょう)分離トイレの導入による被災地の衛生対策と災害に強い都市基盤の整備 | 清水 芳久(京都大学 大学院工学研究科 教授) | - | - | - | ![]() |
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平成22年度採択 | |||||||
WEBを活用した園児総合支援システムの実装 | (安梅 勅江 筑波大学 人間総合科学研究科 教授) | ![]() |
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首都直下地震に対応できる被災者台帳を用いた生活再建支援システムの実装 | (田村 圭子 新潟大学 危機管理室 教授)※平成24年6月1日付で、実装責任者を林春男氏から田村圭子氏に変更しました。 | - | ![]() |
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医学的機能評価に基づく高齢者の排尿自立支援 | (本間 之夫 東京大学 医学部附属病院 教授) | ![]() |
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農作物の光害を防止できる通学路照明の社会実装 | (山本 晴彦 山口大学 農学部 教授) | ![]() |
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障がい者のための食事支援ロボットの社会実装 | (矢野 賢一 三重大学 大学院工学研究科 教授) | 実装活動中止 | |||||
報告書 | |||||||
実装活動 | 終了 | 事後評価 | 追跡調査 | ||||
初年度 | 2年度 | 3年度 | |||||
平成21年度採択 | |||||||
発達障害の子どもと家族への早期支援システムの社会実装 | (神尾 陽子 独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所児童 思春期精神保健研究部 部長) | ![]() |
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英虞湾の環境再生へ向けた住民参加型の干潟再生体制の構築 | (国分 秀樹 三重県水産研究所 鈴鹿水産研究室 主任研究員) | ![]() |
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高齢者転倒事故防止のための移動能力評価システムの社会実装 | (塩澤 成弘 立命館大学 スポーツ健康科学部 准教授) | ![]() |
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震災後の建物被害調査と再建支援を統合したシステムの自治体への実装 | (田中 聡 富士常葉大学 大学院環境防災研究科 教授) | ![]() |
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家庭内児童虐待防止に向けたヒューマンサービスの社会実装 | (中村 正 立命館大学 人間科学研究所 教授) | ![]() |
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平成20年度採択 | |||||||
高齢者ドライバーの安全運転を長期間継続可能にする支援システムの社会実装 | (伊藤 安海 独立合成法人国立長寿医療研究センター 室長) | ![]() |
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サハリン沖石油・天然ガス生産に備える市民協働による油汚染防除体制の構築 | (後藤 真太郎 立正大学 地球環境科学部 教授) | ![]() |
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国内森林材有効活用のための品質・商流・物流マネジメントシステムの社会実装 | (野城 智也 東京大学生 産技術研究所 教授) | ![]() |
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物流と市民生活の安全に貢献するトレーラトラック横転限界速度予測システムの社会実装 | (渡邉 豊 東京海洋大学 海洋工学部 教授) | ![]() |
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平成19年度採択 | |||||||
効率的で効果的な救急搬送システム構築 | (大重 賢治 横浜国立大学 保健管理センター 教授) | ![]() |
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津波災害総合シナリオ・シミュレータを活用した津波防災啓発活動の全国拠点整備 | (片田 敏孝 株式会社 アイ・ディー・エー 社会技術研究所 取締役・研究所長) | ![]() |
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油流出事故回収物の微生物分解処理の普及 | (小谷 公人 大分県産業科学技術センター 主幹研究員)※実装責任者であった斉藤 雅樹氏が異動のため、平成23年4月付で、責任者を小谷 公人氏に変更しました。 | ![]() |
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投薬ミス・薬害防止のための、臨床事例を中核とした医療従事者向け情報交換・研修システムの実装 | (澤田 康文 特定非営利活動法人 医薬品ライフタイムマネジメントセンター 理事・センター長) | ![]() |
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e-ラーニングを核とする多様な学習困難に対応した地域単位の学習支援ネットワークの構築 | (正高 信男 特定非営利法人発達障害療育センター 理事長) | ![]() |
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