第6回社会技術フォーラム(概要)

第6回社会技術フォーラム『ライフサイエンスの倫理とガバナンス―社会と協働する科学技術を目指して―』を開催いたしました。





社会技術研究開発センターでは、以下のとおり第6回社会技術フォーラムを開催いたしました。

本フォーラムでの議論およびご参加の皆様方から頂きましたご意見を踏まえて、本フォーラム企画委員会は、ステートメント『「ライフサイエンスの倫理とガバナンス」の構築に向けて』をとりまとめました。
ステートメントはこちら(PDF:161KB)

タイトル

第6回社会技術フォーラム『ライフサイエンスの倫理とガバナンス―社会と協働する科学技術を目指して―』

日時

平成19年11月23日(金) 10:00~13:00

会場

東京国際交流館 国際交流会議場(サイエンスアゴラ2007の一環として開催)

主催

独立行政法人科学技術振興機構 社会技術研究開発センター

後援

日本学術会議

開催趣旨

今日、科学技術の成果が社会に広く浸透し、人々の生活に大きく影響するに至っています。科学技術の社会への受容に際しては、ELSIと呼ばれる様々な問題が生じています。今後、科学技術が真に有益なものとして社会に受容され、発展していくためには、社会の側と科学技術の側が協働し、社会と科学技術の間に生じる課題について把握し、適切に対処していかなければなりません。今回の社会技術フォーラムでは、そのような取り組みを実現していくためには何が必要かについて、ライフサイエンスを例に取って考えたいと思います。

現在、我が国においても急速に発展しつつあるライフサイエンスは、人々の生命にも直接関わるなど、社会に大きな影響を与えつつあります。ライフサイエンスの研究成果を社会が受容する過程で生じる生命倫理等の問題を調査分析し、それにもとづいたガバナンス(生命倫理等の側面について十分な検討と配慮を行い、そのような視点を踏まえて研究活動を進めていくこと)の方策を立案すること、また、そのための人材を育成することは我が国にとって重要な課題である。そのような課題に応えていくためには、まず、科学技術の側においてライフサイエンスのコミュニティのみならず、生命倫理を初めとした人文社会科学系のコミュニティを含めた分野横断的な連携が不可欠です。また、科学技術の側と行政を含む社会の側の間で双方向のコミュニケーションが必要となります。

ライフサイエンスと生命倫理、ガバナンスの問題については、関連する個別の取り組みが始まっているが、今後、それらの取り組みの間で、組織を越え、分野を越えたネットワークを構築することにより、我が国全体としての取り組みを強化していくことが必要であると考えます。我が国における現状と課題、今後必要な取り組み等について、幅広い関係者によって率直な議論を行い、問題意識を共有するための機会として、本フォーラムを開催することを企画しました。

概要

センター長有本建男より、まず、開会挨拶と本フォーラムの開催趣旨の説明を行いました。この中で、問題の関与者が議論する場をつくることで課題の抽出や解決のための連携・協働の基盤形成に寄与するという、ひとつの触媒機能を果たすということの重要性を述べ、その観点から、今回のフォーラムでは、企画委員会を中心に検討を進めたこと等についても説明しました。

講演では、『命あるものと付き合う時のマナー』として金澤一郎氏(日本学術会議会長)から、『ライフサイエンスの倫理的チェックポイント』として加藤 尚武氏(東京大学大学院医学系研究科 特任教授/鳥取環境大学名誉学長)からご講演を頂きました。 講演の要旨については、こちら⇒(PDF:108KB)をご参照下さい。

続いて、まず、本フォーラム企画委員長 札野 順 氏(金沢工業大学科学技術応用倫理研究所 所長)よりステートメント案の説明があり、河原 直人 氏(早稲田大学 先端科学・健康医療融合研究機構准教授)の司会で、鈴木 美香 氏(京都大学医学研究科)、高橋 政代 氏(理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター網膜再生医療研究チーム チームリーダー)、堂囿 俊彦 氏(東京大学大学院医学系研究科 特任講師)、永山 悦子 氏(毎日新聞東京本社 科学環境部 記者)、菱山 豊 氏(文部科学省 研究振興局 ライフサイエンス課長)によるパネル・ディスカッションにおいて、「ライフサイエンスの倫理とガバナンス」について、活発な議論が行われ、さらにご参加頂いた皆様方からのアンケートで出されたご意見等も含めて議論が行われました。

議論では、「『倫理の外在化』(他から押し付けられたものと捉えてしまうこと)を防ぐために、本当に語りたいことを議論できる環境づくりが重要である」ことや、「研究者の求めるわかりやすさ(論文としてのわかりやすさ、伝えたいポイント)と、一般向読者向けのわかりやすさ(詳細、その研究成果はどのように役立つのか、など)の間に乖離があるように、立場によって『わかりやすさ』が異なり、それが科学技術報道を難しくしている」こと、「誰のための研究としてのプロジェクトか、あるいは倫理審査委員会の実態といった観点からの調査とそれを踏まえた研究の進め方の適切な方法論構築が必要である」こと、「研究が社会に受け入れられるための、倫理等の観点と研究支援のバランスをとることのできる、倫理審査委員会等第三者的な立場の存在が必要である」ことなど、異なる立場の視点から様々な意見が述べられました。また、京都大学の山中教授らによるヒトiPS細胞樹立成功に関連する話題にも及び、科学技術報道における問題点等について議論が行われました。

また、終了後も皆様方からのアンケートによるご意見を頂きました。

ステートメント

本フォーラムでの議論およびご参加の皆様方から頂きましたご意見を踏まえて、本フォーラム企画委員会は、最終的にステートメントをとりまとめました。
ステートメント『「ライフサイエンスの倫理とガバナンス」の構築に向けて(PDF:161KB)』

関連情報リンク

第6回社会技術フォーラムのテーマに関連のある情報などが掲載されているWebサイトをご紹介します。 ⇒こちら

プログラム


10時00分~10時20分

開会挨拶・趣旨説明
    有本 建男 社会技術研究開発センター長

10時20分~10時50分

講演「命あるものと付き合う時のマナー」(PDF:94KB)
金澤 一郎 日本学術会議 会長

10時50分~11時20分

講演「ライフサイエンスの倫理的チェックポイント」(PDF:65KB)
加藤 尚武 東京大学大学院医学系研究科 特任教授/鳥取環境大学名誉学長

11時20分~11時30分

休憩

11時30分~13時00分

パネルディスカッション
    ステートメント案説明
    札野 順  金沢工業大学科学技術応用倫理研究所 所長
    ファシリテーター
    河原 直人 早稲田大学 先端科学・健康医療融合研究機構准教授
    パネリスト
    鈴木 美香 京都大学医学研究科
    高橋 政代 理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター網膜再生医療研究チーム チームリーダー
    堂囿 俊彦 東京大学大学院医学系研究科 特任講師
    永山 悦子 毎日新聞東京本社 科学環境部 記者
    菱山 豊  文部科学省 研究振興局 ライフサイエンス課長


閉会挨拶
    北澤 宏一 (独)科学技術振興機構 理事長


企画委員会

 本フォーラムの企画については、以下の企画委員会を設け、検討をお願いしました。
企画委員会
委員長:
札野 順 (金沢工業大学科学技術応用倫理研究所 所長)
委 員:
加藤 和人(京都大学人文科学研究所 准教授)
河原 直人(早稲田大学先端科学・健康医療融合研究機構 准教授)
児玉 聡 (東京大学大学院医学系研究科 講師)
小林 傳司(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター 教授)
佐倉 統 (東京大学大学院情報学環 教授)
福士 珠美(社会技術研究開発センター 研究員)
本田 学 (国立精神・神経センター 神経研究所 第七部 部長)
武藤 香織(東京大学医科学研究所 准教授)

トピックス

  • 第6回社会技術フォーラムについて毎日新聞に採り上げられました。(毎日新聞2007年11月25日朝刊18面「理系白書」に掲載されています)
  • 第6回社会技術フォーラムにおける金澤一郎先生の講演がサイエンスポータルのWebサイトで紹介されています。