第12回社会技術フォーラム「公/私の空間・関係性の変容に応える安全な暮らしの創生」開催報告

第12回社会技術フォーラム開催報告です。


日時:平成27年5月16日(土) 13:30~17:00
会場:JST東京本部 別館1階ホール(東京都千代田区五番町)
主催:国立研究開発法人科学技術振興機構 社会技術研究開発センター(RISTEX)

プログラム:
13:30~13:35  開会挨拶 (JST)
13:35~13:50  新規研究開発領域についての構想説明 (JST)
13:50~14:05  新規研究開発領域への理解と期待 (山田肇 東洋大学経済学部 教授)
14:05~15:05  領域テーマに関する話題提供
・公/私空間・関係性の変容をめぐる現状 (吉田純 京都大学大学院人間・環境学研究科教授)
・公/私空間の変容がもたらす課題と解決策 (遊間和子 (株)国際社会経済研究所 主任研究員)
・ICTを使ったこれまでの取り組みと今後の展開 (曽根原登 国立情報学研究所 教授・研究主幹)
・公/私空間をつなぐ「間」の創生~NPOの役割 (吉田恒雄 児童虐待防止全国ネットワーク理事長)
15:05~15:25  休憩
15:25~16:55  ディスカッション 「公/私の空間・関係性の変容に応える安全な暮らしの創生」に向けて
16:55~17:00  閉会挨拶 (JST)
ポスター(PDF:440KB)
予稿集(プレゼンテーション資料集)(PDF:1,5316KB)


 近年、日本では高齢化や世帯の小規模化、そして情報通信技術の急速な進展などによって、公/私の関係性が大きく変容しています。公的空間(公共圏)での犯罪や事故は減っている一方で、発見・介入しづらい家庭などの私的空間・関係性(親密圏)における事件や事故への関心が高まっています。また、ネット空間での関係性に由来するいじめなどは新たな社会問題となっています。これらの時代の変化に対応した安全・安心な社会システムやしくみの実現が求められています。
 本フォーラムは、新規研究開発領域「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」の立ち上げに向けて、新領域において解決すべき具体的な問題とは何か、どのように取り組むべきか、皆様と一緒に考える場として、開催いたしました。


会場の様子



 泉紳一郎・RISTEXセンター長の開会挨拶と、センターからの新領域構想説明ののち、山田肇氏(東洋大学教授)による基調講演が行われました。新領域への期待として、親密圏に生じる危害・事故を低減・軽減する、①情報通信技術の活用、②社会システム・法制度の提案、そして③公と私の橋渡しをする「間」の創生、というアプローチの方向性が示されました。また、個々の危害・事故の研究にとどまらず横断的な視点を持つこと、制度提案の根拠となるエビデンスを提示することの必要性が指摘されました。


開会挨拶を行う
泉紳一郎
社会技術研究開発センター長


基調講演を行う
山田肇氏



 続いて、吉田純氏(京都大学大学院教授)、遊間和子氏(国際社会経済研究所主任研究員)、曽根原登氏(国立情報学研究所教授・研究主幹)、吉田恒雄氏(児童虐待防止全国ネットワーク理事長)より、領域が取り組む問題とその現状について、話題提供が行われました。現代における親密圏や公共圏の変容とその背景、高齢者介護という具体的な現場で生じている問題とその対策、ビッグデータの活用をはじめとするICTの導入・応用の可能性、児童虐待の現状と公/私の間をつなぐ民間団体の取組など、充実したデータや最新事例の紹介を交えた、密度の濃い話題が並びました。


吉田純氏


遊間和子氏


曽根原登氏




吉田恒雄氏

 話題提供ののちに行われたディスカッションでは、講演・話題提供者の5名に岸徹氏(元科学警察研究所副所長)が加わり、取り組むべき課題やテーマ、領域への期待について、多角的な視点から議論されました。発見・介入しづらい空間・関係性(親密圏)に生じる危害・事故を低減するためには、情報通信技術や、法制度、民間の取組などすでにある社会システムを大いに活用できる可能性がある。それらの利活用の可能性と運用上の障壁を明らかにしつつ、実証を含む研究開発を通じて、公/私の橋渡しをする「間」の創生に取り組むことが必要である。とくに「予防」という観点について、効果的な介入・支援の判断ができる社会技術の開発が期待されるのではないか。また、人権やプライバシーなどの問題を多分に含む領域であり、「発見・介入しづらい空間・関係性への配慮が行き届いた適切なアプローチ」とは何かを丁寧に議論していくことが必要である、といった議論が展開されました。


ディスカッションの様子