新しい研究開発領域に関するご意見・ご提案募集の、結果取りまとめ

今年10月に募集を行いました、新しい研究開発領域に関するご意見・ご提案の募集について、下記の通り取りまとめご報告いたします。


新規研究開発領域「科学的アプローチを活用した教育・学習・人材育成(仮)」に関する意見・提案の募集結果について

社会技術研究開発センターにおいて検討を進めております、新しい研究開発領域「科学的アプローチを活用した教育・学習・人材育成(仮)」に関し、意見・提案の募集を行いました(平成20年10月2日~10月27日)ところ、88件という多数のご意見・ご提案をいただきました。皆様方からの貴重なご意見に対し深く感謝申し上げます。募集についてはこちら。

今回の募集では、「高度情報化社会」や「知識基盤社会」、「国際化社会」などの言葉に代表されるように、現代の子どもを取り巻く社会環境の劇的な変化に伴い顕在化している問題・課題の解決に向けて、科学的アプローチを活用した研究開発を行なうというセンターの研究開発領域構想案に対し、皆様より多数の建設的なご意見・ご提案を頂きました。センターでは、今回の意見・提案募集と並行して、関係する有識者・関与者の方々に個別にインタビューを実施したほか、いただいたご意見・ご提案に対しても一部の方々とは個別に議論をさせていただく機会を設けさせていただきました。これらを概観すると、いろいろな分野、視点でのご意見がありましたが、なかでも特に、学習(意欲・探求型学習・問題解決能力向上・学習の効果評価など)、それと関連してICTの学習への活用に関するものや、理数学習(技術・環境を含む)や外国語学習、教育システム、コミュニケーションに関するテーマを中心に、多数のご意見・ご提案がありました。これらのテーマに関し、頂いたご意見・ご提案を概括するとおよそ以下のようになると思われます。

  • 知識基盤社会では、社会はより複雑化し、正解の見えない問題がますます増える。そのため、複雑な問題を解決し、新しい価値を創造する能力(問題解決能力)が重要である。
  • 知識基盤社会では、知識やスキルは陳腐化するので、継続して学習する意欲や学び方を育てることが重要である。学習意欲を育てるためには、自分の生活と世の中とのつながりを認識させる学習方法を検討すべきである。
  • 今後、さらにグローバル化が進展し、近い将来に仕事等で国際的にコミュニケーションをとる必要性が増すことは必至である。従って、その手段として語学力(英語力)が必須となる。そのため、日常の機会で英語に触れる機会が少ない日本では、学校教育など多様な場における英語学習が重要である。
  • 高度情報化の影響などにより、個人化が進み、他者とコミュニケーションをとる機会が減ってきている。知識基盤社会では、グローバル化も進展するため、多様な人々と共生していくための基盤となるコミュニケーション能力の醸成が重要である。
  • 教育の機会平等性と質を維持・向上、職業観を育てるためのキャリア教育、地域・保護者・学校が連携した地域社会教育、教員養成などの実施は、教育システムとして系統的に検討することが重要である。
  • 知識基盤社会では、科学技術がますます発展・高度化する。それに対応しうる科学技術人材を育成するための理数学習が重要である。
  • SNSの活用など、ICTの効果的な活用が期待できる部分については、それを実現する仕組みの設計や実証、効果の評価を行うべきである。

更に、上記各テーマが相互に密接に関係するという視点で、例えば以下のような趣旨のご意見・ご提案も多かったものと考えています。

  • 国家として知識基盤社会における人材育成を目指すのであれば、英語教育と理数教育の連携など、違う分野の研究者同士が情報交換できる場や研究を提案できる場の創出を行うべきである。
  • 効果的に英語を習得するためには、理数学習をはじめ、何か他のことを目的とし、手段として英語を使用することが重要である。
  • ICTは、理数学習や英語学習など、広範囲の分野で活用が可能である。
  • 問題解決能力やコミュニケーション能力を醸成させるための、効果的な理数学習が検討可能ではないか。

これらを踏まえると、「理数学習」「英語・外国語学習」「「教育システム」「問題解決能力」「学習意欲」「コミュニケーション能力」「ICTの学習への活用」といったものが本件領域構想の主要なキーワードになるものと思われ、これらのキーワードを中核として、他のいろいろなテーマを有機的に結びつけていくというようなイメージとして領域の姿をとらえるのが適当なのではないかと考えます。そこで、これをイメージ的に整理した図を作成してみました(図1)。

p_diagram02

図1では、上述の7つの主要なキーワードを中心に配置し、これらに関係しそうな他の要素についても、いただいたご意見等を参考にしながらちりばめてあります。領域の対象とする範囲としてはこれらの要素も対象となりうると考えていますが、それらの諸課題についても中核となる中心部のキーワードとの関係で有機的に整理、連携された形で取り扱うのが適当なのではないかと考えています。

更に、7つの主要なキーワードは必ずしも互いに独立しているのではなく、これらの要素は相互に関連しており、むしろこれからの新しい取り組みにおいては、これらの複数の要素を統合的にとらえ扱うことが重要であるというようなご示唆を数多くいただいたことから、これらを何らかの形で統合的に整理するような概念が重要となってきます。そこで、これを、「高度情報化、技術革新の進展、幅広い知識と柔軟な思考力の重要性、グローバル化などを主な特質とする『知識基盤社会』における人材育成」(=「知識基盤社会における人材育成」)という概念でとらえてみました。 また、新しい領域における研究開発アプローチについて、研究開発の成果の現場で展開しそれを持続させるためには、実践的研究が必要であるというご指摘がありました。
以上を踏まえ、センターでは「知識基盤社会における人材育成」を目指して、諸々の問題・課題に対し、最新の自然科学や人文・社会科学の知見及び手法の統合的な活用と、現場を中心とした様々な関与者との協働・実践というアプローチによって取り組む領域構想を考えております。

以上がいただいたご意見、ご提案等を踏まえて整理しなおした領域構想のイメージですが、これはあくまでも現時点での暫定的なイメージです。今後も、引き続き関係者の方々へのインタビューを行ったり、本構想についての関係者による議論の場を設けるなどにより、本領域の具体的な内容についての検討を進め、本年度末を目途に最終的な案を確定させる予定です。今後とも関係者の皆様方のご協力、ご支援をいただければ幸いです。