国民の科学技術リテラシーの実態調査とグループ化、グループごとの教育プログラムの開発

「科学技術と人間」研究開発領域「21世紀の科学技術リテラシー」

研究開発プロジェクト名「科学技術リテラシーの実態調査と社会活動傾向別教育プログラムの開発」

研究代表者:西條美紀(東京工業大学 留学センター/統合研究院 教授) ※終了当時

研究開発期間:平成18年度~平成21年度


掛川市で開いた太陽光発電に関する集会。
家族内、地域内のコミュニケーションを促すことを目的として設計しました。

研究の概要:
 この研究開発プロジェクトは、科学技術コミュニケーションにおける情報の受け手のニーズと受容能力に対する考慮が十分ではないという問題意識から、国民の科学技術リテラシーの実態調査、リテラシー構造のグループ化を行い、グループごとの教育プログラムを開発しました。

研究の成果:
 まず、全国規模の質問紙調査を行い、「科学」「社会」「科学重視」の3つのリテラシー因子を抽出、科学知識量との相関を分析しました。すると科学知識量が多い人が必ずしも科学に対して肯定的ではないことや、社会への関心が高い人は科学への関心が低くても科学の社会的な役割についての理解が高いことがわかりました。
 次にこの3つの因子の相関から、人々を4つのタイプに分類し、それぞれのタイプ別のリテラシー向上のための教育プログラムを開発、実施しました。異なるタイプ同士のコミュニケーションの円滑化が相互のリテラシーを補完し、社会全体としてのリテラシーの向上につながっていくということもわかりました。
 科学技術リテラシーのクラスター分析手法の開発は、学術的貢献としても、今後の科学技術リテラシー向上のアウトリーチ活動における社会的貢献としても、有益かつ有効であり、今後イベントや教育プログラムの実施にあたって、簡易版調査紙や談話分析等により参加者のリテラシー分布の把握に広く活用されることが期待されます。

現在の状況:
 現在、簡易版のリテラシー判別質問紙を使って、様々な科学イベントの来場者や、中学生や高校生のリテラシー傾向を調べる調査を進めています。また、リテラシー向上プログラムとしては、都内の小学校をフィールドとして、理工系大学院生と小学校教員の協働による理科教材作成プログラムを実施しています。さらに、静岡県掛川市では、太陽光発電の導入と普及に関する研究を、太陽光発電や経済学の専門家だけではなく、市役所や市民代表などと共に進めています。これらのプログラムの基本は、異なるリテラシー傾向をもつ人々を共通の場に集め、現実の課題解決を目指す点にあります。