脳神経科学リテラシーと専門家の社会リテラシー向上のための、教材を開発

「科学技術と人間」研究開発領域「21世紀の科学技術リテラシー」

研究開発プロジェクト名「文理横断的教科書を活用した神経科学リテラシーの向上」

研究代表者:信原幸弘(東京大学大学院総合文化研究科 教授)※終了当時

研究開発期間:平成18年度~平成21年度


南山大学(写真上)、成城大学(写真下)における脳神経科学リテラシーの授業風景。教科書『脳神経科学リテラシー』に基づいて作成した授業用スライドを用いて授業を行っています。

研究の概要:
 近年、「脳神経科学」の産業化が進展し、一般市民の生活や社会に及ぼす影響が大きくなっています。脳神経科学の専門家ではない一般の方々の脳神経科学リテラシーの向上、及び脳神経科学者(専門家)の社会リテラシー向上を目指し、将来、社会をリードしてゆくべき大学生の脳神経科学リテラシーの向上をはかるための研究開発を行いました。

研究の成果:
 大学生の一般教養の授業で使用する教科書とスライドを作成しました。通常の入門書のように体系的にまとめるのではなく、脳神経科学が一般市民の生活と社会にとって重要な関わりのある事項を調査・考察して項目別にまとめるという手法を取りました。
  これらの教材をもとに、複数の大学で実際に一般教養科目として授業を展開、教材を改善していくとともに授業評価のためのアンケートを実施し、結果を分析しました。
 また、脳神経科学リテラシーとはそもそも何かを理論的に考察し、「一般市民と専門家の双方向的なコミュニケーションを成立させ、社会政策や人間観の構築を適切に行うのに必要な知識と技能」であり、「知識を批判的に吟味してその信頼性や有用性を知る『知識についての知識』」であること、また「脳神経科学の専門家を養成して社会に普及させる必要のある知」であること等を明らかにしました。

現在の状況:
 脳神経科学リテラシーの教科書が授業を受けた大学生のみならず、その他の大学生や市民の方々にも容易に入手できるようにするために、教科書を一般の出版社から刊行することにしました。そのために、教科書の内容をさらに推敲してより正確を期すとともに、読みやすくするための表現上の工夫も行いました。また、出版社を通じて、用いた図表・脳画像についての著作者の許諾を得る手続きを行いました。こうして2010年10月に勁草書房より『脳神経科学リテラシー』を刊行する運びとなりました。また、教科書の刊行とならんで、引き続き、2010年度の前半には東京大学と玉川大学で脳神経科学リテラシーの授業を行い、また後半には刊行されたばかりの教科書『脳神経科学リテラシー』を用いて、成城大学と南山大学で授業を行っています。さらに、それとともに、授業評価アンケートの実施も継続して行っています。