主な成果の事例

「社会システム/社会技術論」研究領域

【安全対策】トラック横転防止システムの開発

研究課題名
輸入依存型社会における安全な物流の構築(平成16年度~平成19年度)
研究代表者:東京海洋大学 海洋工学部 教授 渡邉豊

研究の概要
コンテナ貨物のトラック輸送において、法定制限速度内でも積荷条件等によって横転する危険を防止するためのシステムを開発。
兵庫県トラック協会、神戸市、同市運輸・港湾関係団体等、産学官の連携体制を確立し、研究開発を推進した。

研究の成果
コンテナ貨物用トラックの横転メカニズムを解明して、横転限界速度算出技術を開発した。さらに、3次元重心検知装置を開発し、前述の成果と統合したシステムとすることで、曲路に入る前にリアルタイムに横転限界速度を算出して事前にドライバーに警告を発し、横転の危険を予防することを可能にした。

現在の状況
本研究開発成果を装備することにより、開封できない輸入コンテナを輸送する場合でも、トラック横転を防止できることを実証。自動車メーカーによる製品化研究が開始され平成20年秋完成予定。

「社会システム/社会技術論」研究領域

【安全対策】医療事故防止に対する安全手法

研究課題名
医療事故防止に対する製造業安全手法の適用研究(平成14年度~平成17年度)
研究代表者:九州大学大学院 工学研究院 教授 野口博司

研究の概要
医療組織において製造業におけるプロセス管理の取り組みを導入し、クリティカルパス(マニュアル化可能部分)の使用率や続行率を高くするためのシステムを開発。

研究の成果
スケジュール変更に伴い発生する業務項目の矛盾をインターフェース(繋ぎ)の可視化によって解消することにより、患者の個別性に対応した医療事故未然防止システムの構築に貢献。

現在の状況
九州大学病院にて、医療事故防止システムとして実用化されている。また、電子化クリティカルパスシステムを応用・発展させた、糖尿病患者およびその予備軍に対する疾病管理プログラムが開発された。さらに、高血圧症、高脂血症等に対応したシステムの開発・実証が計画されている。

「安全安心」研究開発領域

【安全対策】津波災害総合シナリオ・シミュレータの活用

研究課題名
シナリオ・シミュレータを用いた防災教育ツールの開発(平成13年度~平成17年度)
研究代表者:群馬大学 工学研究科 社会環境デザイン工学専攻 教授 片田敏孝

研究の概要
各種シナリオ想定に基づき地域住民への災害情報の伝達状況や住民の避難状況、そして、津波の氾濫状況を統合化して表現することができるツールを開発。

研究の成果
現状の防災計画や地域状況を反映した津波災害時の詳細な人的被害や経済被害予測、避難計画、施設整備計画の立案、防災教育コンテンツの作成に貢献。

現在の状況
三重県尾鷲市や岩手県釜石市、北海道神恵内村にて、市と住民が協働して同ツールを利用した津波防災教育・防災対策活動が展開されている。また、和歌山県広川町「稲むらの火の館」でも同ツールが導入された。さらに、河川氾濫時の住民避難シミュレーションの開発への応用や米オレゴン州立大学との共同研究にも展開している。

※平成19年研究開発成果度実装支援プログラム採択課題

「循環型社会」研究領域

【環境経営支援】環境経営・格付手法の活用

研究課題名
環境格付け指標、格付け手法、情報公開法の開発(平成13年度~平成16年度)
研究代表者:(株)日本環境認証機構 顧問 福島哲郎(当時)

研究の概要
経営の健全性、環境の保全・向上、良き企業市民としての社会的責任の3領域を対象とした、循環型社会形成における企業の環境経営について評価する指標を作成し、格付けを行う手法を開発。

研究の成果
社会的責任の国際規格化(ISO26000。国際標準化機構にて検討中)の先駆け的研究。企業の独自評価のツール化、環境経営の普及に貢献。

現在の状況
環境経営学会にて格付けを継続的に実施。多くの企業が自社の経営改革に活用しているほか、CSR(Corporate Social Responsibility)報告書に格付け結果を掲載するなど、ステークホルダーとのコミュニケーションツールとして活用している。

【学習の支援】認知症状改善のための学習療法|「脳科学と教育」研究開発領域

研究の概要
認知症高齢者の認知症状を改善(前頭前野機能の向上,全般的認知機能維持、社会的コミュニケーション能力改善)音読と単純計算により脳の前頭前野機能を活性化させる学習療法を確立。

研究の成果
高齢者介護施設における学習療法プログラムを用いた介護や高齢者ケアの導入、脳科学の知識を基にしたアプローチによる、様々な認知症状、社会的コミュニケーション能力の改善に貢献。

現在の状況
2008年3月末までに、全都道府県のデイケアセンター等712の施設で導入・実施され、約9000名がこの学習療法に取り組んだ。例えば、豊島区では、「脳イキイキ教室」が、岐阜県中津川市では、「脳の健康教室」が定期的に開催され、その他の地域でも活発に学習療法が活用されている。

研究課題名
前頭前野機能発達・改善システムの研究開発(平成13年度~平成16年度)
研究代表者:東北大学 加齢医学研究所 教授 川島隆太

【学習の支援】学習困難をもつ児童への教育支援プログラムの開発|「脳科学と教育」研究開発領域

研究の概要
発達障害の一種である学習困難を持つ子どもたちへの教育支援方法の構築、および、それを学校、家庭、療育センターなどの様々な現場で実践していくためのプログラムの開発。

研究の成果
学習支援システムを構築し、コンピューター教材として開発した学習支援教材を用いて、学習困難を持つこどもたちの行動を客観的な指標により評価した。それを学校教育や地域活動等に組み込んでいくシステム作りを療育センター等と連携して展開し、教育制度内での運用に貢献。

現在の状況
名古屋市では正式にモデル事業として、予算措置が講ぜられ、また京都市でも行政との連携が進められている。

※平成19年度研究開発成果実装支援プログラム採択課題

研究課題名
学習困難の脳内機序の解明と教育支援プログラムの開発・評価(平成15年度~平成18年度)
研究代表者:京都大学 霊長類研究所 教授 正高信男

【合意形成支援】様々なリスクを考慮した最適な合意形成|「情報と社会」研究開発領域 計画型研究開発「高度情報の脆弱性の解明と解決」多重リスクコミュニケータ

研究の概要
いろいろなリスクやコストについて、入力情報をもとに最適化問題として計算する演算部と関与者/専門家間の意見交換を行うネゴシエーション基盤などから構成される合意形成支援ツール「多重リスクコミュニケータ(MRC)」を開発。

研究の成果
情報セキュリティにおける個人情報漏洩や不正コピー等、様々なリスクやコストを考慮しながら最適な対策案の組み合わせを導き出すことにより、意志決定関与者間の合意形成に貢献。

現在の状況
世田谷区では、区内の95校の小中学校、教育委員会と連携し、校内ネットワークシステムの個人情報漏洩対策の策定についてMRCを適用。ここで得た成果を今後の情報セキュリティ対策に活かしていく予定。

研究課題名
多重リスクコミュニケータ(MRC)(平成15年度~平成19年度)
研究代表者:東京電機大学 工学部情報メディア学科 教授 佐々木良一

「循環型社会」研究領域

【合意形成支援】循環型社会へ向けての市民参加システム

研究課題名
市民参加による循環型社会への創生に関する研究(平成14年度~平成17年度)
研究代表者:上智大学大学院 地球環境学研究科 教授 柳下正治

研究の概要
名古屋市のごみ問題を対象に「参加型会議」手法を環境政策分野に適用した社会実験を行い、名古屋が目指すべき循環型社会をまとめた。

研究の成果
無作為抽出を基に選ばれた市民による参加型会議の設立、環境問題解決のためのステークホルダー・専門家・市民の三者協働による意志決定や政策形成に貢献。

現在の状況
名古屋市の廃棄物政策検討の手法として正式に採用された。本研究開発成果による手法を用いて、平成19年9月に名古屋市の廃棄物政策に対する「しみん提案」がとりまとめられた。「しみん提案」は名古屋市の第4次一般廃棄物処理基本計画の策定に生かされた。