「科学技術と人間」研究開発領域の成果

「科学技術と人間」研究開発領域 研究開発プログラム「科学技術と社会の相互作用」

【研究開発実施期間】平成19年度~平成24年度の6年間

 「科学技術と人間」研究開発領域は、平成17年度から24年度までの8年間にわたり、科学技術と社会の間に生じる問題について、二つの研究開発プログラム、(1)「21世紀の科学技術リテラシー」(平成17~21年度)、(2)「科学技術と社会の相互作用」(平成19~24年度)の推進に取り組み、平成25年3月で領域の活動を終了しました。

研究開発領域成果についてのまとめと提言

 今日、科学技術は社会に広く浸透し、私たちの生活に大きく影響しています。科学が問うことはできても解くことができない問題をトランス・サイエンス的問題と呼びますが、こうした問題解決のためには、研究者だけではなく、その影響を受けるさまざまな関係する人々が共に考えなくてはならない問題です。この研究開発領域の研究開発プログラム「科学技術と社会の相互作用」では、12のプロジェクトが、ナノテクノロジー、医療、食の安全、地球環境、情報社会など、さまざまな問題解決に取り組みました。研究開発成果を踏まえた「まとめと提言」は、以下の通りです。

  1. 科学技術と生活知をつなぐ
    科学技術や社会を巡る複雑性や不確実性が増大する中、社会における意思決定をより効果的で公共性の高いものにするためには、関与者の拡大によって科学技術の専門知と地域や生活空間に根差した「常識=生活知」をつなぐ必要がある。
  2. 踏み出す専門家をはぐくむ
    自らの専門的知見に閉じこもることなく、専門的知見の限界をわきまえつつも専門領域を踏み出して発言し、多様な関与者と協働できる「踏み出す専門家」が求められる。
  3. 果敢な社会的試行でまなぶ
    多様な社会的試行、とりわけ、具体的な社会的課題に対して踏み出す専門家が多様な関与者と協働する場を、継続的に設けることに取り組むべきである。失敗も含めて学び、次のチャレンジに生かす長期的な展望のもとに、覚悟を持って行う必要がある。
  4. 応答の継続が信頼をうむ
    とりわけ3.11以降顕著であるが、社会的試行の成否は、信頼の創出にかかっている。信頼は、専門的知識の有無によってのみ生まれるのではない。社会的課題に伴う複雑性と不確実性がある中で信頼を生み出すためには、関与者間の応答・対話の継続が必要である。

領域Webサイト、成果報告書で成果を詳しく発信しています

「科学技術と社会の相互作用」ページイメージ

 研究開発プログラム「科学技術と社会の相互作用」の成果の詳細は領域Webサイトでご覧いただけます。

「科学技術と社会の相互作用」のページ

成果報告書はPDFファイルをダウンロードいただけます。

成果報告書(日本語)表紙画像
成果報告書(日本語)
(PDF: 7,772KB)

成果報告書(英語)表紙画像
成果報告書(英語)
(PDF: 4,241KB)

研究開発プロジェクトの成果紹介

ジャーナリストと科学者の議論を社会の議論に反映する方法を考える

研究開発プロジェクト名:「科学技術情報ハブとしてのサイエンス・メディア・センターの構築」
研究代表者:瀬川 至朗(早稲田大学 政治経済学術院 教授) ※終了当時
研究開発期間:平成21年度~平成24年度

 気候変動、食の安全、新型インフルエンザ、そして原発や放射能の問題。科学がかかわる社会の問題は、ますます複雑さを増しています。科学とは、専門家が議 論を重ねて正解を探していく営みです。ところが、社会で考えなければいけない問題には、科学だけでは今すぐ答えが出せない、しかし今すぐ何かの判断をしな ければならない、という状況が生じることが多々あります。そこでは、科学の知識だけではなく、科学者の間でどう議論が分かれているかを把握し、問題のあり 方を整理するジャーナリストの役割が重要になります。このプロジェクトでは、科学者と、科学を伝えるジャーナリストの間を取り持ち、サポートする機関を設立・運営しました。


SMCホームページで公開する「サイエンス・アラート」


JAXA小惑星探査機「はやぶさ」の帰還を伝える
SMCの国際ネットワーク

研究開発実施終了報告書(PDF: 1,286KB)

「科学技術と社会の相互作用」領域Webサイト 研究開発プロジェクトの成果紹介ページ

持続可能な地域づくりを進める人たちと地域のために働く研究者をサポートする

研究開発プロジェクト名:「地域主導型科学者コミュニティの創生」
研究代表者:佐藤 哲 (総合地球環境学研究所 研究推進戦略センター 教授) ※終了当時
研究開発期間:平成20年度~平成24年度

 地域環境問題に対して科学的に妥当な解決策が提案されても、地域社会に受け入れられないことがあります。それは、地域に固有の問題や価値観、意思決定システムなどとの不一致が生じているのかもしれません。
このプロジェクトでは、全国各地の地域に定住し、地域社会との協働を通じて問題解決に取り組むレジデント型研究者や、地域のステークホルダーのプラットフォームとして、「地域環境学ネットワーク」を形成しました。科学者とステークホルダーの協働のガイドラインを提供し、参加型科学研究の新しい評価システムを構築しています。


「地域環境学ネットワーク」に参加している地域の例。
2012年からは国際ネットワークへと展開している


石垣島におけるフィールド研究会

研究開発実施終了報告書(PDF: 1,615KB)

「科学技術と社会の相互作用」領域Webサイト 研究開発プロジェクトの成果紹介ページ

ゲノムコホート研究に協力する人たちと科学研究の新しい関係をつくる

研究開発プロジェクト名:「地域に開かれたゲノム疫学研究のためのながはまルール」
研究代表者:明石 圭子(長浜市健康福祉部健康推進課 参事) ※終了当時
研究開発期間:平成19年度~平成24年度

 究極の個人情報とも言われるゲノム情報を扱う研究開発を進めるには、個人情報保護や倫理的な課題を社会全体で考えることが重要です。このプロジェクトでは、長浜市と京都大学が連携して進めるゲノム疫学研究(「ながはま0次予防コホート事業」)にあたり、研究に参加する市民の視点を大事にした、試料の蓄積と管理運用を定めた「ながはまルール」を策定しました。ゲノム利用の研究開発と健康なまちづくりの促進を目指して、長い将来にわたって行われるコホート研究は、これからが本番です。


研究参加を通じてNPO法人「健康づくり0次クラブ」設立。


情報誌「げんき玉」の発行など市民を中心に活動

研究開発実施終了報告書(PDF: 2,384KB)

「科学技術と社会の相互作用」領域Webサイト 研究開発プロジェクトの成果紹介ページ

法律家と裁判で科学が正しく扱われるための方法を考える

研究開発プロジェクト名:「不確実な科学的状況での法的意思決定」
研究代表者:中村多美子(弁護士法人リブラ法律事務所 弁護士)※終了当時
研究開発期間:平成21年度~平成24年度

 科学技術には常に不確実性が伴うということを正しく理解し、よりよい司法判断をするには、どういう仕組みがあったらよいのか。このプロジェクトでは、法律実務家と自然科学者らが協働して、裁判とは何か、科学とは何か、法と科学はなぜすれ違うのか、という根本の問題から解きほぐしていきました。
科学裁判に初めて巻き込まれることになった法律家や科学者に向けて『法と科学のハンドブック』をまとめ、法律家と科学者がお互いを理解し、協働するためのヒントを提供しています。


ワークショップや「法と科学の哲学カフェ」を通じて、
法律家、科学者、学生、一般の人々も交えて意見交換

法と科学のハンドブック表紙画像
法と科学のハンドブック(ver.20120816)
(PDF: 1,277KB)

画像をクリックするとダウンロードいただけます

研究開発実施終了報告書(PDF: 428KB)

「科学技術と社会の相互作用」領域Webサイト 研究開発プロジェクトの成果紹介ページ