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プロジェクト現場から

第22回SciREXセミナー(2018年1月10日)開催報告

 第22回SciREXセミナー(文部科学省・GRIPS SciREXセンター・RISTEX共催)が2018年1月10日(水)に開催されました(於:霞が関ナレッジスクエア・エキスパート倶楽部)。

 セミナーでは、平成29年度採択プロジェクト「スター・サイエンティストと日本のイノベーション」の研究構想と進捗状況について、牧兼充氏(早稲田大学大学院経営管理研究科・准教授)および隅藏康一氏(政策研究大学院大学・教授)より「スター・サイエンティストと日本のイノベーション~スター・サイエンティストの変化から見るナショナル・イノベーション・システムの評価~」というタイトルで話題提供がなされ、その後中澤恵太氏(文部科学省科学技術・学術政策局企画評価課政策科学推進室長)のファシリテーションのもと、参加者を交えた意見交換が行われました。

 文部科学省をはじめとする行政官や大学・研究所等のアカデミア、さらにファンディングエージェンシーの関係者など約30名に上る参加者のもと、研究開始時点での問題関心と今後の研究開発の方向性について発表がされるとともに、プロジェクトが目指すスター・サイエンティストの同定方法の構築と育成に関心を向ける多くのステークホルダーとの間で積極的な意見交換がなされました。

 話題提供では、まず先行事例として米国におけるスター・サイエンティスト研究のフレームワークが紹介され、特に日本においてスター・サイエンティストに関する研究を行うことの意義が述べられました。具体的には、UCLAのZucker& Darby両氏によるスター・サイエンティスト仮設が示され、サイエンスの分野には、多くの論文を執筆し、多くの引用を集めるとともに多数の特許を出願することで、学術的に顕著な業績と産業面でのインパクトとを同時に達成しているスターが存在することが紹介されました。イノベーションを考えるとき、こうした科学的ブレークスルーと産業の発展が好循環にあることには重要な意義がみられ、いわばその好循環を牽引するスター・サイエンティストをいかに発見し、また戦略的に養成するかが、米国のみならず日本においても重要な課題となっているという基本的な問題意識が示されました。

 そのうえで、現在までのプロジェクトの進捗状況として、日本におけるスター・サイエンティストに関する独自のデータセットの整備が進められていること、またその同定手法の構築が試みられていることが説明されました。そうした取り組みの一環として得られた日本におけるスター・サイエンティストについての知見の一例として、大学に知的財産権が帰属することとなった日本版バイドール法が施行される以前の1970年代から90年代にかけては、しばしば低調であることが指摘される日本の産学連携という印象とは異なり、むしろ日本における産学連携は米国に次ぐ高い水準にあったことが示されました。

 プロジェクトでは、①日本におけるスター・サイエンティストの同定手法の開発、②日本におけるスター・サイエンティストの現状分析、③日本のナショナル・イノベーション・システム改革におけるスター・サイエンティストへの影響、④スター・サイエンティスト誕生要因の分析と次世代育成手法の検証の4つのリサーチ・クエッションが掲げられています。歴史的経緯を踏まえつつ、現在の制度環境下においてスター・サイエンティストを同定し、効果的な支援に結び付けたり、あるいは効率的にスター・サイエンティストを養成する手法についての研究開発を進めたりすることを通じて、最終的には科学技術イノベーション政策の改善とナショナル・イノベーション・システムの改革に結び付けられるような提言を行うことがプロジェクトの目標であることが述べられました。

 セミナーの内容について、詳しくはこちらをご覧ください。
 SciREXポータル(外部サイト)

講師の牧 兼充氏と隅藏 康一氏
講師の牧 兼充氏(早稲田大学大学院経営管理研究科・准教授:右)
および隅藏 康一氏(政策研究大学院大学・教授:左)

プレゼンテーションの様子
プレゼンテーションの様子。
発表後は、行政官を含めた多くのステークホルダーとの間で積極的な意見交換がなされました。

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